【取材】「一般社団法人we Re-Act」共同代表 小出 愛菜氏

若者たちに向けた様々な社会問題をテーマにした場づくり、
そこに込められた想いとは



SDGs SQUAREでは、サステナブルやSDGsを意識した活動をされている方にインタビューをしています。どんな想いをもってその活動をしているのかを伺い、一人でも多くの方に伝えていければと思っております。

第12回目は、「一般社団法人we Re-Act」共同代表 小出 愛菜氏です。

Profile 
大学では森林生態学を専攻。Fridays For Future にて、のべ1年間活動。
現在は、一般社団法人we Re-Actの共同代表として、気候変動について活動。


若い世代に向けて、気候変動やジェンダーなどの社会問題をテーマにしたイベントを企画されています。その活動にはどのような想いが込められているのか、お話を伺いました。



より多くの人に気候変動を知るきっかけを届ける

「2021年4月に『Climate Live Japan』という音楽ライブイベントの開催をきっかけに、一般社団法人we Re-Actを立ち上げました。この名前は、私達が行動を起こすことで、みんなが『React』し、アクションを起こす人たちが増えて欲しいという想いで付けています。
具体的には、気候変動をテーマにした音楽ライブイベント『Climate Live Japan』社会問題を学ぶ場『3.5seed 』の企画運営です。

Climate Live Japan】とは 
学生が主体となり世界 40 カ国で実施する、気候変動への理解と行動喚起を目的とする音楽ライブイベントです。第一回目と第二回目は、オンラインでの開催でしたが、第三回目の今年はオフラインで開催致します。
また、このイベントで感じた気持ちの高まりを忘れないで欲しいと思い、アフターイベントも企画しております。

前回イベントのフライヤー


3.5seed】とは 
これは、社会のうちの3.5%の人が非暴力な方法で社会運動に参加すれば社会のルールが変えられる『3.5%の法則』というものがあり、ここから名前を付けたイベントです。若い世代向けに気候変動を切り口として様々な社会問題を学ぶ場作りをしております。

イベント当日の様子


イベントでは、『ジェンダー』『貧困』『人権』『政治』『気候変動』『メディアリテラシー』『コミュニケーション』についての専門家の方々に登壇してていただき、参加者同士の対話を重視しています。
また、社会問題に対して実際にアクションを起こす方法を考えるワークショップも行っております。参加者の方々から、『会話がメインのイベントで様々な意見が聞けて良かった』『このようなトピックについて話せる場所がなかったので、良かった』などの声を頂いております。」



父がきっかけで興味を持った環境問題

「私の父は、家庭の中で『挨拶する・整理整頓する・残さず食べる』という3つのことを大切にしており、その理由も全て説明してくれました。この中の、残さず食べることは『世の中には食べたくても食べられない子どもが沢山いるのだから、感謝して食べないといけないんだよ』と教えてくれました。このような父の教えから、小さい頃から環境問題について興味を持っておりました。

また、学校の授業の中でも、自分の住んでいる地球がどんどん暖まっていることを学び、『さらに地球が暖まったら人間が住めなくなるじゃないか!生きたい!』といった危機意識を持ち、環境問題に関する仕事に就きたいと思い始めました。
そして大学では、地球環境科学部で森林生態学という、自然の生物多様性などについて学んでいました。」



環境に関わる仕事の選択肢が増えてきたと実感

「私は高校生の時、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)へ、『どうしたら環境に関する仕事が出来ますか?』と相談したことがあります。『研究職しかないよ』とのお返事を頂き、当時の私は理系に行くしかないと考え、進路は理系を選びました。
理系の大学に進学したことで、どれだけ自然が偉大なものかを学べ、地球の仕組みを知ることは大切だと学ぶことができました。

私が高校生の時は、今ほど環境問題について情報発信している人が少なかったので知らなかったのですが、Fridays For Future Japanや国際NGOでインターンシップを経験してみると、決して理系に進学しなくとも環境問題に関わる仕事や活動ができることに気が付きました。」

FFF 東京での初めてのマーチ(2019.3)





気候変動へのアクションのきっかけになりたい

きっと誰もが、『気候変動のため行動しよう』と思うタイミングが来ると思っています。
きっかけはいろいろあると思いますが、その中の一つに私たちのイベントがきっかけになったという人が増えて欲しいと考えています。

また、気候変動の問題は楽しいだけではもう解決できない、すぐそこに迫ってきてしまっている問題。だからこそ、伝え方は日々悩んでおります。甘い情報だけを見せる『シュガーコーティング』はなるべくしないように心がけています。
ですが、危機的な情報ばかり伝えても…とも思いますので、色々と挑戦しています。」



この活動を通して、自分に自信が持てるように

「大学在学中、8ヶ月間アイルランドへ留学をしておりました。そこで出会った南米出身の友人とのヨーロッパ旅行中に、『なぜそんな自信ないの?』『愛菜、自信を持っていいんだよ』と言われたことがありました。南米出身の彼らは基本的に自信を持っており、すごく自己肯定感が高いなと感じました。

ですが現在の活動を始めてから、以前より自己肯定感が持てるようになってきました。
気候変動や社会問題に対して活動をしている方々は、ありのままの自分でいることが大事だと思っている人が多いように感じます。そのような考え方の方たちの中で活動していると、自分を認められた、受け入れられたと感じています。」



活動を共につくる仲間がいることの幸せ

「団体を立ち上げるきっかけになったのは2人の仲間でした。この2人がいなければ、これらの活動はできていなかったと思います。

私が不得意な『アイディアを生み出すこと』は、他のメンバーが担当していたり、『他のメンバーが不得意なこと』は私が担当したりと、バランスが取れたメンバーで活動できているなと感じています。同じ目標に向かって活動できる仲間ができたというのは幸せですね。」

wereactメンバー





人口の3.5%が気候変動について知っている状態にしたい

―――これから挑戦したいことを教えてください
「気候変動について知っている人を3.5%まで増やすという目標に近づけることです。

また、初めてイベントに参加して下さった方々へ、様々な社会問題について、より伝わる方法を明確にしていきたいです。

さらに、持続的に活動することはすごく重要なところだと考えています。
団体の代表のみが目立つのではなく、各プロジェクトがフォーカスされ、ひっそりと団体があるような形で、様々な人が活躍できる場を作り、繋げていく活動をしていきたいと考えています。」



―――私たちが気候変動に対して、今日からできることを教えてください
「人それぞれ、行動できることや状況は違うので、行ったアクションに対して矛盾が生まれることもあると思います。
ですが、私なら何ができるだろうかと調べてみることが大事だと思います。情報収集するのにオススメなサイトは、国際環境NGO 350 Japanです。まずはこのサイトを中心に見てみるといいかと思います。

さらに一歩行動したいという方は、SDGsなどのサステイナビリティの実現と逆行する取り組みを行う企業から、資金を引き揚げる動きダイベストメント』に取り組むことがオススメです。
例えば、持続可能な社会のために活動している会社のクレジットカードに切り替えることで取り組めます。少し手間はかかりますが、そのひと手間で継続的にできるアクションですので、ぜひ調べて、取り組んでみて欲しいと思います。

それでも困った時は、私のインスタグラムにメッセージをください!何ができるか一緒に考えていきたいと思っています。」

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様々な社会問題をテーマに、学生を中心としたイベントを開催している小出氏にお話を伺いました。
彼女の企画するイベントを通して、多くの方が社会の問題について話せる場が増え、より良い社会をつくる仲間がさらに増えていくことを願います。



〈Information〉一般社団法人we Re-Act
Climate Live Japan      https://www.climatelivejapan.com/
3.5 seed             https://www.instagram.com/3.5seed/
小出氏Instagramアカウント      https://www.instagram.com/aina_koide/