【取材】「株式会社 Innovation Design」 haishop ブランドマネージャー 和田 奈央 氏

人を幸せにする『おみやげ』を通して社会的な課題の解決へ、そこに込められた想いとは。

SDGs SQUAREでは、サステナビリティやSDGsを意識した活動をされている方にインタビューをしています。どんな想いをもってその活動をしているのかを伺い、一人でも多くの方に伝えていければと思っております。

第14回目は、「株式会社 Innovation Design」
haishop ブランドマネージャー・サステナブルデザイン室マネージャー 和田 奈央 氏です。

Profile

「『ひと』と『地球』の未来を描く」をビジョンに掲げ、調達・社会・環境の観点で持続可能性に配慮した飲食・小売店を展開する企業です。食を通じて社会課題の解決を目指す「haishop cafe」「KITCHEN MANE」、おみやげショップ「haishop」等を運営しています。 全社員が『サステナブルデザイナー』という肩書を持ち、自身の役割の中で地球の未来を変えるための取り組みを自発的に推進しています。2021年、レストランのサステナビリティ格付け「FOOD MADE GOOD」三つ星を獲得。

横浜市の馬車道を拠点に、おみやげをテーマにした社会的な課題を解決する日本初のおみやげショップ『haishop』。その活動にはどのような想いが込められているのか、お話を伺いました。



おみやげは『人を幸せにする』アイテム

―――『haishop』での具体的な取り組みを教えてください。
「私たちは『人と地球の未来を描く』をビジョンに掲げ、事業を通して世の中の社会的な課題の解決を目指しています。
こちらのショップでは、日本製であること、グッドデザインであること、ストーリーがあること、社会的課題の解決につながっていること、この4つの選定基準をもとに、様々な商品を販売しております。

販売スタッフは、それぞれの商品に込められた作り手の想いや、商品の裏側にある社会課題についてなどのストーリーを、お客様にお伝えすることを大切にしています。
例えば、食品ロス削減につながるドライフルーツや、途上国の児童労働や貧困問題などの解決につながるフェアトレードの商品などを通してお話しさせていただきます。


また、同ブランドのhaishop caféでは、レストランにおけるサステナブル格付け「FOOD MADE GOOD」において三つ星を獲得。「調達」「環境」「社会」に配慮した店舗運営を行なっています。

昨年2021年には『日本サステナブルレストラン協会』が開催する『FOOD MADE GOOD JAPAN Award』において、大賞を受賞いたしました。提供するメニューに使用している食材は、契約農家さんから調達していて、また8割をヴィーガンメニューとして展開しております。
調理後にどうしても出てしまう野菜の端材などは、コンポストで分解してゴミが出ないように徹底しています。

毎日かき混ぜていると愛情が湧いてくるので、スタッフ全員で動物を育てるみたいにコンポストをしています(笑)。」


―――どうしておみやげに着目されたのですか?
「おみやげは、何か特別な日に限らず気軽に渡せて、『人を幸せにするアイテム』であり、相手を想う気持ちが詰まっている素敵な表現方法だなと感じているからです。

おみやげを渡すときに、『実はこれってこういうストーリーがあるんだよ』『こういった問題と繋がってるものだよ』と、一緒に話してもらうことによって、おみやげを渡す側だけでなく受け取る側にも影響の輪を広げる可能性を秘めるアイテムだと考えています。」



きっかけは、自然栽培の農家さんとの出会い

―――サステナビリティを軸にした活動のきっかけを教えてください。
自然栽培の農家さんとの出会いがきっかけとなり、『サステナビリティを推進するコンセプトへと大きく方向転換することになりました。
その農家さんは、自然栽培で野菜を育てているため、どうしても規格外で物流に乗せられないものが出る現状をどうにかしたいと思い、そのような野菜や果物をドライ加工して販売し、食品ロスの削減を考え行動されていました。

私たちも、食品ロスという言葉は知っていたものの、実際に活動されている方とお話ししていく中で、想いに共感し、ドライ加工の野菜やフルーツを取り扱い始めました。

また、同時期に私たちhaishopでも、障がい者の方々が作ったお菓子を販売していたり、サステナブルな商品の取り扱いが増えていきました。
そして『食品ロス』『障がい者雇用』をはじめ、様々な社会問題を学んでいく中で、様々な社会問題がつながっていることを知り、『地球全体に住んで暮らしている人たちの未来を描けるような企業になろう』と会社の方向性も変えていくことになりました。」



みんなが『サステナブルデザイナー』

―――どのようにサステナビリティについて学んでいきましたか?
「会社の方向性を変更した当初は、サステナビリティとは何かが右も左も分からない状況からスタートしました。
社員全員でサステナビリティについて勉強したり、学んだことをお互いに発表する『プレゼンテーション会』を開催したりと、お互いに教え合うようにして学んでいきました。

そして、全員がそれぞれの役割の中で、サステナビリティをどう推進していけるのかを考えられる組織体制に変えるために、『サステナブルデザイン室』を作り、全員をサステナブルデザイナーに任命しました。名刺にもサステナブルデザイナーと入れています。」



サステナビリティをもっと身近に感じられるきっかけ作り

―――これから挑戦していきたいことは何ですか?
「私は、サステナビリティとは何かを突き詰めて考えていくと、個人の幸せに繋がると感じています。今持っている物や環境に対して感謝し大切にしていく人が増え、誰かを攻撃して、何かを奪い合うようなことが無くなれば、必然的に社会は平和になるんじゃないかと想いっています。

そのようなことを伝えられ、サステナビリティをもっと身近に感じられるようなきっかけ作りをしていきたいと考えています。」



1%のアクションが世界を変える

―――私たちがよりサステナブルな社会をつくっていくために、今日からできることを教えてください
「私たちは社内でペットボトルの使用を禁止し、『みんなでマイボトルを持とう!』ということから始めました。他にも、洗剤を環境に配慮されたものに変えるなど、出来ることはたくさんあると思います。

1か月に1回のアクションを世界中の人たちが挑戦すれば、絶対に世界が変わると思うんです。
日々、様々なメディアで気候変動に関するニュースが流れていて、焦る気持ちはありますが、一歩一歩地道にアクションすることが大切だと感じます。小さいことでいいと思うので、1%だけでも挑戦することを意識してみてはいかがでしょうか。」        



今後のお知らせ!

「食を通じて社会課題解決を目指すサステナブルカフェ『haishop cafe(ハイショップカフェ)渋谷スクランブルスクエア店』を2022年9月17日、渋谷スクランブルスクエア7Fにオープン。

当カフェではフードシステム上の『調達』『環境』『社会』に配慮し、提供するフード・ドリンクの約8割をヴィーガンメニューとしており、シェフ特製のオリジナルヴィーガンクッキーや渋谷限定のアイスクリーム、旬の野菜と果物を使用したスムージー等の提供を行っています。」




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『おみやげ』をテーマに社会的な課題の解決に取り組んでおられる、和田氏にお話を伺いました。

おみやげは自分だけではなく、お渡しする相手の方にも影響の輪を広げることが出来る素敵なアイテムだと教えていただきました。次、おみやげを買う機会があれば、haishopで社会的な課題を解決するおみやげを選ぶのはいかがでしょうか。



〈Information〉株式会社 Innovation Design
株式会社 Innovation Design HP  https://www.innovationdesign.co.jp/
Haishop 公式HP        https://www.haishopjapan.com/
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